第53章 アンバランス
月島side
赤葦さんが僕の表情を見て、ついさっきまでの出来事を僕に話してくれた
黒尾さん
「あいつ反抗期かねぇ……
あんなことで怒るなんて一度も無かったのに」
最近の葵はおかしい
僕もそう思った
別に、だからといって何てないけど
黒尾さん
「もういいだろ!?俺の傷にレモン汁ぶっかけんな!」
赤葦さんとハモって「ちょっと意味が。」と言う
僕は呆れて帰ろうとすると、ちょいちょいちょい!と焦った声で黒尾さんに肩を掴まれる
黒尾さん
「俺はコイツ鍛えるのに忙しいんだよね」
そう言って、体育館の床に這いつくばっている新人を指さす
黒尾さん
「見えないかもしんないけど
コイツ全国で5本の指に入るくらいのスパイカーだから練習になると思うよ」
今度は木兎さんを指さす黒尾さん
だから何なんだ
赤葦さん
「……3本の指にはギリギリ入れないですかね……」
黒尾さん
「ちなみに葵は2本の指に入るけどな
ドンマイ」
木兎さん
「落とすくらいならアゲないで下さい!!!
つか、どっち!?
男のほう?女のほう??」
黒尾さん
「はぁ?葵つったら、1人しかいねーだろ」
木兎さん
「お前、知らねーの!?
あの、『期待の星』って言われてた津田 葵選手と、さっきまでいた葵は同姓同名の漢字ドンピシャなんだぞ!?」
赤葦さんも驚いた顔をしている
僕も驚いた顔をした
黒尾さん
「お前、フツーに考えて同一人物だろ、それ
葵は女子で2本の指に入る、あの葵だぞ」
蛍
「黒尾さん、そんなだから葵に怒られたんじゃないんですカ〜?」
黒尾さん
「え?……………あ、やべ。」