第53章 アンバランス
目をこすり、静かに立ち上がった
早朝の学校は静かで、すごく幻想的だ
私はまた、昨日と同じく走り込みをするのだった
葵
(…………今日は、ちょっと暑いな)
首筋を流れる汗がちょっとした風でも冷やされ、火照る身体を幾分か冷ましていく
ある程度走り込みをしてから、ストレッチをする
ふと、私は体育館が開いているのを目にした
中はずっとネットが張ったまま
朝日を受けながら、ほんの少し寂しそうにそこに佇んでいる
数時間後にはこの体育館には大量の男子高校生が汗水たらして、必死にボールを追いかけているんだろう
そう思うと、この静かな体育館もまたおかしな空間のように思えてきた
バレーボールを一球取り出して、壁と向き合う
その手前を狙って、私はスパイクした
いい具合に壁に跳ね返りこちらに戻ってくるボール
アンダー、スパイク、などとボールが戻ってくる位置に合わせひたすら壁とバレーをしていた
お腹がぐ〜っと鳴り出す
葵
「………だれも聞いてないよね?」
あとでまたきます
ボールを戻して食堂へ向かった