第52章 表と裏
葵
「私………、ほんと最低だ………」
《ほんと、最低だよ君は》
葵
「だれ……」
《私?私は―――
君だよ》
葵
「え……?
それって、ドッペルゲンガー?」
《あははっ!
違う違う もっと分かりやすいものだよ》
葵
「分かりやすいもの………?」
《そう、私は君で君は私だ
簡単でわかりやすいでしょう?》
葵
「何言ってるかわかんないよ……」
《国語は得意じゃなかった?君は》
葵
「…………」
《ほら、そろそろ時間だよ?
また会おうね》
そう言って、自称私は手を振る
しかし、その手を止めて言った
《いい忘れたけど、早くしないと手遅れになっちゃうよ?》
葵
「ちょっと待って!
それ、どこかで………あなたは……!」
一瞬周りが真っ白になる
そして、私が今度目を開くとそこは
教室の天井が目に映った
カーテンの向こうは薄く白んでいて、壁にかかる時計は5時半を指すところだった
葵
「…………何を早くすればいいの……」