第50章 各々の休息
パイプ椅子に座る威厳満ち溢れる50代後半に見えるその男の人を一目で監督だとわかった
葵
「こんにちは」
男
「こんにちは ……、誰かな?」
葵
「今回からまた参加させて貰うことになった津田 葵です」
その人はパイプ椅子からよっこらせ、と言いながら立ち上がり笑顔で私と向き合った
男
「ああ、津田か
よく来てくれた ありがとう」
手を差し伸べ、私もその手を握った
葵
「いえ、こちらこそよろしくおねがいします」
男
「よろしく
息子からはよく話に聞いてるよ」
息子?
彼に似たような人と会話をした憶えが全くない
もしかして人間違いされているのでは……
そんな私の表情を読み取ってたか、彼は笑いながら「自己紹介がまだだったな」と言う
男
「水落 蒼太郎の父、水落 葉哉(ヨウヤ)だ
この世界ユース女バレの監督だ」
葵
「!?」
こりゃたまげた
パッと見た感じでは、あの水落と似ていそうで似ていないけど、パーツごとによく見てみれば、なるほど
確かに言われてみれば似ているかもしれない
特に笑ったところが
よろしくお願いしますと再度言って、握手を再び交わした