第49章 進化には何がいる?
葵
「サーブは、バレーで唯一ブロックがつかなく、且つたった一人で勝負する
サーブをする時、誰もがその瞬間の主役になれる
注目される
皆、緊張、焦り、恐れ、期待……色んな感情を孕んだ目でその人を見るんだ
私は、サーブを打つために跳んだ時相手側のコートが一望できる
瞬間的なものだけど、その時だけは日向の言うように自分の動きがスローモーションみたいになるんだ
その瞬間、体の中がこう……ぐわああってなる」
わかる?と言って少し笑いながら、繋心を見た
繋心
「………まあ」
葵
「『 鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。』
ヘッセのデミアンっていう本の名言
これって、普通を壊せってことだと思わない?
新しく生まれ変わるには、リスクがいるってこと」
繋心
「………そう、だな
うん………うん
よし、ありがとな」
繋心が私の頭をポン、と手を置いてから体育館の中へ入っていった
葵
「………」
置かれた頭に自分の手を添えて、しばらく立っていた
葵
「皆、強くなっていく
私も強くなりたい
だから………」