第48章 ほどけぬ糸
研磨と2人、葵が眠る病室のベッド脇で座っていた
俺はずっとイライラしていた
胸の中に、黒いものがドロリと生まれてはグルグル駆けまわる
研磨
「クロ………
イライラしても仕方がない」
黒尾
「けどあいつ等のせいでこいつはまたこんな目に!!」
研磨
「クロ、ここ病院」
黒尾
「 ………クソッ」
研磨
「葵が、よくモップ掛けをひとりでしてるとこ見かけた」
黒尾
「俺も、1人で水汲みに行ってたの見た」
研磨
「それを、見て見ぬふりしてた」
黒尾
「……………、」
研磨
「あいつ等だって悪いとは思う
おれだって、あいつ等のこと凄くイヤな奴って思う
でも―
葵のこともっと気づいてあげなかったおれ達も同じだと思う」
黒尾
「……………あぁ」
手を伸ばして、葵の頭を撫でる
黒尾
「ごめん
ごめんな………葵
気づいてやれなくて…………」
研磨も葵の手を握っていた