第48章 ほどけぬ糸
葵
「ねえ、クロ
仲間って何だと思う?」
昼休、屋上に行くとそこには葵がいた
長い髪を風にたなびかせながら、空を見上げて立っていた
黒尾
「何かあったのか?」
葵
「ううん、何でもない
クロが求める"仲間"って何なのかなあって、ちょっと気になっただけ!」
ニコリと笑顔で俺を見る
黒尾
「さあ、な
でも、お前が代表にいた時のまわりの奴らはお前の"仲間"だったろ?」
葵
「う、ん そうだ」
黒尾
「ならわかんねぇの?」
葵
「わかんないから聞いてんのー!
もーいいです!私はパンを食べます!」
そう言って、俺の側にあるビニール袋を取ろうとこっちに来た
葵が取ろうとした時、俺はそれを取った
葵
「あ、ありがと」
取ってくれたのだと思ったのか
俺派それを渡そうとすると、あいつは手を伸ばし受け取ろうとする
それを寸でのところで俺の方へ引き戻した
葵
「えっ、ちょっと!
返して!」
黒尾
「返して欲しいなら何かあったか言ってみ?」
葵が届かなさそうなところへ袋を掲げた
それを、あいつは―
葵
「よっ と……
はい、取れたので言いませーん」
ジャンプして取りやがった
驚いて少し声が出なかった
黒尾
「お前バッタなの?」
葵
「せめてウサギとか可愛いものに例えてほしいよね〜」