第48章 ほどけぬ糸
そして俺はまた、同じことを繰り返すことにる
今でも思う
あの時、もっと注意を払えば良かった―、と
「黒尾くん!!来てっ
黒尾くんの幼なじみちゃんが、大変なことに!!」
放課後の教室で、部員と和気藹々としていた頃に同じクラスの女子がその扉を開けて叫んだ
俺と研磨は一瞬顔を見あわし、走りだした
研磨
「クロっ、場所が―」
黒尾
「場所なんて聞かなくても分かる
体育館だろ!!」
研磨と2人、体育館に駆け込む
ネットのそばで人だかりができていた
黒尾
「ちょっとどいてくれっ」
人混みをかき分け、その中央にいる人物を探す
俺の心臓はバクバクと鳴り、腹からは何かが蠢いている
ああ、どうか人違いだといいー
そんな願いも虚しく、そこには心臓のところを両手でぐっと抑えこみながら丸くなっている葵がいた
瞬間、俺の脳に飛び込んできたあの日の光景
同じだ
黒尾
「葵!!」
研磨
「葵……!」
葵
「んっ………クッ………!
カハッ……、ク、ク……………ロ……?
それに、ケン ………マ……」
薄く瞳を開け俺と研磨の名前を呼ぶ
その眼は虚ろで、俺達を捉えているのか分からない
葵
「ごめ……… でも、これく……らい
だい……じょうぶ ほっさ…起きただけ…だから」
俺は葵の頭を腕に置き、持ち上げた
そして、俺はまた思い出していた