第47章 烏、東京へ
黒尾side
練習も終わって、俺はジュースを買いに自販機へ立ち寄った
すると、話し声が近くで聞こえてきた
よく聞くと、その声は葵だった
1人しか声は聞こえない
電話してるのだろう
俺はもう少し近づき、物陰に隠れ聞き耳を立てた
『ちゃんと制限するから大丈夫』
その言葉に俺は違和感を覚えた
あの葵が"制限"する?
これはもちろんバレーのことだろう
一体こいつ、何考えてるんだよ
今朝のおじさんの顔だって、俺久々だったぞ?
あんな顔するなんて、絶対何かあったに決まってる
話し声は止まったみたいで、どうやら電話は切れたみたいだ
その時、俺は確かに耳にした
『ごめん 先にいくかもしれないね……』
いく?
いくってどこにだよ………
もう何年も一緒に居たのに、あいつは俺になんにも話してくれねえ………
くそ………
『あれ?大地さんもジュース買いに来たんですか?』
葵の弾む声が3メートル先くらいに聞こえた
大地さんって、確か烏野のキャプテンだったよな
澤村
「おう
葵は何買ったんだ?」
葵
「私は、いちごミルクです」
澤村
「以外だな……」
「私結構甘党なんですよー」と少し拗ねた顔しながら笑う葵を見て、俺は少し困惑する
え、なに?
澤村クンにはバレちゃってるの?
メガネ君にバレてるのは知ってる
なんかちゃっかり下の名前で呼んでるし
はー………
マジでダメだわ