第47章 烏、東京へ
灰羽……灰羽…………
何度も口にしていると、日向が顔を覗いてきた
日向
「知り合い?」
葵
「多分………人違いかも」
ロシア人とのハーフなら多分、知ってると思うけど
あの顔、似ているから
ロシアの代表に仲良くしてくれた人がいたから
体育館を出て、自販機のそばまでやってきた
携帯を開くと、不在着信が2件
お父さんとお母さんだ
どちらに掛け直そうか迷った挙句、掛け直した先はお母さん
ごめん、お父さん(笑)
ーーーーープルルルルルッ プルルルルルッ プッーーーーー
『葵、お疲れ様』
葵
「お母さん うん、ありがと」
お母さん
『今朝の話、本当にそれでいいの?』
葵
「うん」
お母さん
『誰かに強いられてないでしょうね?』
葵
「自分の意志だよ、ちゃんと」
お母さん
『………お願いだから、手術を――』
葵
「ごめんなさい 手術はしないって決めたの」
お母さん
『でももしあなたが死んだら……!』
葵
「バレーで死ねるなら、別にいいよ
誰かに殺されるより、ずっといい
頑張るから
ちゃんとコントロールだってする
今日はずっと見てたんだよ?ハハ、この私が、さ
皆が試合してるとこ、負けちゃってペナルティしてるとこ、必死なとこ、………
ずっと見てた
こうやって、制限するから!!
だから、大丈夫」
お母さん
『……………』
葵
「じゃあ、おやすみ」
お母さん
『葵………
頑張ることはいいけど、頑張り過ぎは ダメよ
無茶しないで、おやすみ』
プツリと通話が切れた
繋がっていない電話に、私はポツリとつぶやいた