第47章 烏、東京へ
「10番止めろォ!!」
その声が体育館でよく響いていた
9セット目にして、初めて烏野はペナルティをせずに済んだ
葵
「おつかれ、赤点遅刻組」
はい、とスポーツドリンクを渡した
日向は物思いにふけった顔をしている
葵
「速攻?」
日向
「!? おまえ何なの、エスパー??」
葵
「ハハハ
わかるよ、だって
日向がそんな顔するってことはバレーのこと以外に何かあるの」
日向
「厶」
葵
「ここで殻を破れたらいいね?」
日向
「………おう
! あれっ?」
日向が音駒と生川が対戦しているコートを見る
「どうしたの?」と私もそちらに視線を向ける
日向
「犬岡が控えに居る………?」
葵
「犬岡って、確か………」
日向を止めた人だ
その人が「灰羽!!」と叫んだ
と同時にコートの上を飛ぶ人
手足が長く、鞭みたいなスイング
葵
「灰………羽?」