第46章 デンジャラス アウェイ
葵
「――――……」
私はただただ黙っているしかなかった
視線は下を向いているが、及川が私を見ているのは分かる
水落
「図星だよね?」
「うるさい」
と言ったのは私ではなく、及川
及川は私の隣に立ち、背中を押してここから去ろうと暗示する
水落
「僕の予想だけどね、彼は世界ユースの仲間になると思うんだけど
そうなると、君の野望は叶えられないな」
背中に掛けられた声
歩みだしていた足が動きをとめる
葵
「――んですか……」
及川
「? ……葵ちゃん?」
葵
「………それくらい、私にだってわかります
若は必ずユースに入る
アンタは………私達のこと"どこまで"知ってるんですか………」
水落
「そうだなあ………
君の野望あたりまでかな〜」
葵
「誰に聞いたっ!!!」
及川
「落ち着いて!」
肩を抑えられる
葵
「…………何がしたいの………」
水落
「戻らないかい?
君が一番輝いていたあの頃のように
あんなチーム抜けて、世界と戦わないかい?」
にこりと釈然と答える彼
爽やかで一見人懐っこい顔立ちから発せられた言葉だと思わない
音声だけで聞けば、誰も彼が言ったとは思わないだろう
葵
「戻る気は今はない
ただ………烏野のチームを"あんな"呼ばわりはしないで
皆強いんだから!私よりもっと、ずっと………
上辺しか見ないアンタにはわかって欲しくないけどね……
話は終わり じゃあ」