第46章 デンジャラス アウェイ
蛍
「前から思ってたんだけど、君と牛若の関係ってなんなの?」
葵
「……いとこ」
蛍
「その割には顔似てないよね」
葵
「……義理だもん」
私の言葉がストンと落ちる
そして、この机の間に居続けた
蛍
「…………」
重たい空気
それを破ったのは私だった
葵
「……………お母さんと、若のお母さんは血が繋がってないの
お母さんは養子だったみたい
でも、2人は仲が良くて2人ともバレーをしてた
…………私達が初めて会ったのは、ここ宮城の仙台市体育館
若のお母さんのチームが試合で、私のお母さんもちょうど休みだから見に行くことになった
その頃は私もバレーしてたから、喜んでついて行った
でも、行かなきゃよかった
行かなきゃ、あんな思いせずに済んだのに―」
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ダンッダンッと床にボールが打ち付けられる音
照明も熱くて、小さい私には目の前の光景に興奮を抑えきれなかった
高い高いネット目掛けて、サイドライン真横から助走
踏み切って力強く飛び、体を弓のようにしならせてから弾くスパイクは目を見張るものだった
お母さんが隣で嬉しそうに『今飛んだのは私のお姉ちゃんよ』と言った
私は『凄い凄い』と何度も口にした
お母さんもお母さんのお姉ちゃんも、凄い
私もあんなふうになりたい
そう何度も思った
試合が終わり、少しだけコートを借りさせてもらった
その時、お母さんのお姉ちゃんの子供、若と出会った
キリッとした顔からはどこか大人びている
バレーという共通の接点からすぐに打ち解けた
そして、一度バレーで戦ってみようということで若と対戦したのがすべての始まりだった