第45章 To Next Stage→
青根
「10番!!」
伊達江の眉なし
青城のエース、ラッキョヘッド……
大王様の、眼
仲間の歓喜の声
乾いていても、心地良い音を立てるハイタッチ
常波のエースの表情
俺のために上げられた――トス
カツカツカツと黒板にチョークで文字を書く音がする
6月3日、月曜日
烏野高校排球部は、普段と同じように授業に出席していた
しかし、皆頭に内容が入ってくることもなかった
昼休憩が始まったことを知らせるチャイムの音と共に、日向は教室を飛び出した
走って、走って、走って――
第二体育館へ
ダダン
ダダンッ
そこには影山が居た
バレーボールを壁に打っていた
日向の存在に気づいた影山はそのボールを日向に向かって上げた
アンダーハンドパス
オーバーハンドパス
広い体育館の中で、ボールの音だけが静かに広がり、吸い込まれていった
田中
「大地さんは春高に行くって言った」
2年1組の教室には、田中を中心に排球部2年生が集まっていた
田中
「俺達でもう一回行くって言った
敗戦に浸っている余裕 無えよ」
田中の言葉でメンバーの表情が引きしまる
決意の表情と、前だけを見据える瞳
澤村
「俺はここで退いた方がいいと………思ってる」
3年4組の教室から出られる吹き抜けの場所で、彼はエースと副主将に切り出した
驚いた2人の表情
切り出した主将の訳には、今のこと、未来のこと
全て、大事な部の、部員のことを思っての理由
菅原
「大地 それって本音?」
聞かれた主将はグッと押し黙ってしまう
彼には"主将"という重い立場
部の最高責任者である
部をちゃんと後輩へ繋いでいかなくてはいけない
菅原
「最後くらいもっとやりたい様にやんなよ」
エースも副主将も居残る
たとえ、1、2年に出て行けと言われても―
自分が納得するまで
納得できるまで
最後まで自分が決めたことを、否
自分がやりたいことを人に擦り付けず、自分自身で成しとげるため――
「俺は………
俺は まだやりてえよ!!―お前らと
まだ バレーしてえ」
2人の顔が綻んだ