第45章 To Next Stage→
澤村side
津田の様子がほんの少し気にかかった
一緒にご飯を食べた時からだ
多分
いや、前々から気にはかかってた
試合中には苦しそうに咳き込んだり、息を切らしたりしているからだ
だから、俺は自分の家へ向かう道を逆戻りし、津田と津田と一緒に帰っているであろうコーチの背中を追いかけた
が、やはり二人の背中は見えなくて路頭に迷った俺は、とりあえず坂ノ下へ行った
すると、コーチが帰ってきたばかりで津田は自分の家に帰ったと聞いた
そこまで見送られたなら安心だっただろうが、俺は胸に走る焦燥感が気になった
何かある
そう言ってる
コーチに津田のマンションを聞いて足早に向かった
言われた階の部屋番号の前に着いた矢先、中から悲鳴のような叫び声が聞こえた
驚いて、ドアノブに手をかけるとぐるりと周りドアが開くからさらに驚く
が、中に居た津田の姿に目を見はった
ハサミを握りしめ、今にも振りかざそうたしている
机においた自分の手にめがけて
反射的に俺は津田のハサミを持つ手を抑えた
「やめろ!」
津田の動きが止まり、泣きすぎたのか目を赤く腫らし虚ろな表情で振り返り俺を捉える
津田
「キャプ…………テン?」
澤村
「お前っ、何しようとしてんだよ!!」
津田
「私の、私のせいで……………
負けた…………」
澤村
「お前のせいじゃないだろ
ミスでもない」
津田
「私のせいです!!
最後、ボールに触った……のに!
あげられなかった………!!私のせいだ!」
津田はまた頬を濡らしながら、苦しそうに目を瞑った
澤村
「お前は悪くない
それに誰もお前のせいで負けたとか思ってない」