第45章 To Next Stage→
繋心side
本当のことをコイツは言ってるのだろうか
そりゃ今まではコイツの親父に会うときくらいにしか顔をあわせてねーし、大体そういう機会がもとから少なかった
だから、葵が宮城に来てから初めてコイツの素顔を知った感じだ
テレビとか、コイツの両親からはよく聞いてはいた
けど、だ。
俺が想像していたより、違っていた
テレビに出ていたからって、いい格好するわけでもねぇし、普通にバレーが純粋なやつだってわかった
でも、たまにものすごく不安になる
コイツの体のことは知っている
本来なら安静にしてなきゃいけねぇのに、バレーに固執する理由を俺はさっきの盗み聞きでなんとなくわかった
『死ぬまでバレーする』
確かに、あの願望を持ちゃあそうなるんだろうけどよ
でも、命削ってまでする必要は無ぇんじゃねえのか?
隣を歩く葵を見ると、夕焼けで顔を朱く染めながら至って真剣な表情で地面を見つめながら歩いている
本気だとわかる
葵
「怒ってる?」
繋心
「は?何を」
葵
「私のこと、怒ってる?」
繋心
「何でお前に怒んなきゃなんねーんだよ」
葵
「最後………、触ったのにあげられなかった……」
いつの間にか、コイツの住んでいるマンションの入り口前まで来ていた
葵は苦悶の表情をしたまま俯き、そして無理やりとしか言いようのない笑顔を作って言った
葵
「おつかれ!じゃあ、また明日」ニコ
マンションへ入っていくその小さな背中に俺は、ただ1言「おう」と返すのに精一杯だった