第45章 To Next Stage→
ガチャガチャとお箸がお皿に音を立てる
それが、扉の向こうでも聞こえた
私は、手をかけて扉を開ける
武田先生
「あ!津田君!!
遅かったですね、さあ君も」
繋心
「もう皆食い始めちまったからさっさとしねーとお前の分失くなるぞ」
武田先生に、2人が座っている席の対局線側を手で促される
おずおずと座ると、ここからでは皆の様子がよく分かる
皆、涙を流しながら目の前の料理を食べている
蛍は泣いてないけど
繋心
「お前も食って筋繊維を修復しろ」
葵
「うん…………いただきます」
大皿から料理をとって口に入れる
おいしい
優しい味がする
グッと涙が出るのを堪えて、せっせと食べ物を口に入れた
「「「ごちそうさまでしたーっ!!!」」」
辺りは夕暮れで空が朱く染まっていた
ああ、確かあの時もこんな色だった
音駒と、クロ達と試合をして連敗したあの日も
どうして、こんなにも形容し難い色を空は織りなせるのだろう
今の気持ちが、映しだされたようだ
みんな、それぞれの帰路へと向かい私と繋心だけとなった
しばらくの沈黙が続く
葵
「……………負けちゃったね」
繋心
「……おう」
葵
「悔しい」
繋心
「だろうな」
葵
「でも………楽しかった
本当に、とても」
繋心
「……………そうか」
葵
「………うん」
繋心
「…………お前、まさかこれが"最後"とか
言わねえだろうな」
葵
「……まさか
死ぬまでバレーするって決めたんだもん
最後なんてない」
繋心
「そう………だよな」