第44章 ファイナルセット
繋心side
青城に負けてしまった
コートから体育館の外へ出る間、誰も口を開かなかった
それが余計に"負け"を感じさせた
外に出て、ミーティングを始める前に少しの間休憩をとる
先生と目配せをし合う
先生は1、2年のいる方へ
俺は3年のいる方へ足を運ばせた
様子を見るために
向かう道中、体育館の裏へ歩いて行く葵と医者が見えた
気になって近くまで行き、盗み聞きをしちしまった
何やら言い争っているようだが、葵の声はだんだんとしおらしくなって、ことは収まったようだ
医者が出てきてここを去る
すると、しばらくして葵の声が聞こえる
声を押し殺して、すすり泣く声
「勝ちたかった」と嘆いている
俺は、どうすることもできなかった
情けねえ
ただただ、陰からその声を聞くしかなかった
そこを後にして、3年のいるところへ向かう
泣いてるアイツを1人にするのはどうかと思うけど、今はその方がいいと思う
変に何か言っちまってはいけない
そうだ
今日はこのあと食べに連れて行ってやろう
メンバー全員、俺のオゴリで
あれ、俺って太っ腹?