第44章 ファイナルセット
セットカウント 2ー1
青城が勝った
ピピーッとなり響く笛の音がやけに耳に残った
大地さん
「日向・影山 整列だ
ほら、津田も立て ……?
津田?」
「スマン!どいてくれっ
おいっ、だいじょ「大丈夫」」
あの時の声と同じ人に声を掛けられる
でも、見なくても分かる
この人は、私の主治医の先生だ
うつ伏せになっていたのを仰向けになって、腕をおでこに当てた
熱いくらいの、この体育館のライトが照りつけて眩しい
私はポツリと「楽しかった」と呟いた
大地さん
「立てるか?」
手を差し伸べてくれる大地さん
でも、顔を見るとさっきの事がフラッシュバックされて何とも言えない罪悪感が胸を渦巻く
葵
「………大地さん、スミマ「謝るな 日向も影山も、津田も― 今のはミスじゃない ミスじゃないから謝るな ほら、津田早く立て 整列するぞ」
エンドラインに並ぶ
そして、笛の合図とともに腰を折り曲げて「ありがとうございました!」って叫ぶ
青城の人達と握手を交わす
そして、観客席の人達にも「ありがとうございました!」と頭を下げる
頭の上から送られる拍手
「お疲れ!」「いい試合だった!」と町内会チームに居た人2人が声を掛けてくれる
葵
「………」
田中さんに頭を無言でわしわしされる
何かがこみ上げたけど、知らないふりして飲み込んだ
そして、青城を見る
葵
「楽しかったよ……」
コートに残るのは 強い奴だけ
時間制限のないバレーに"引き分け"などない