第44章 ファイナルセット
菅原さん
「影山ァー!!!
迷ってんじゃ無えぞーっ
"うちの連中はァ!!!"」
影山
「 "ちゃんと皆強い"」
葵
「……… ふふっ」
(もう、"孤独な王様"じゃないね)
及川
「ホント厄介」
(……飛雄 急速に進化するお前に
俺は負けるのかもしれないねでも)
葵
(凄い集中……)
及川がサーブトスを上げる
ボールと、擦れた靴音が響く
まるで、それだけに時が進んでいるようで――
トンッ
葵&大地さん
「「っ!」」
「前っ/前ェェーー!!!」
大地さんがなんとか拾う
葵
(この状況を……!)
旭さんが打つも向こうのリベロに拾われる
そして、青城側からもエースが攻撃を仕掛ける
葵
「っぐ!」
ズドッと重いスパイク
上げたけど向こうに返ってしまう
葵
「すみません!」
ダイレクトでらっきょヘッドが打ってくる
そして今度は西谷さんが拾う
西谷さん
「オラアァァ!!!」
葵
(乱れたっ ……けど!)
「影山っ!」
日向が、走る
影山が、構える、飛ぶ、上げる
ドンピシャ!!!
日向が、打った
でも―――
日向の後ろへ弾かれるボール
それを目でとらえた瞬間、私は走っていた
ある限りの、体力をフルに使って
影山も、西谷さんも、フライングした
全てはこのボールを繋ぐために
足がコートを蹴る
身体が、浮くと同時に前方へ進む
「っーーーーー!!!」
どこかで聞き覚えのある声が響く
その声ははっきりと「取るな」と叫んでいた
重力に従って落ちていくボールに、指先だけが触れた
しかし、それが上がることなく虚しく私の目の前で
―――堕ちた。
及川
(飛雄 急速に進化するお前に俺は負けるのかもしれないね
でも それは今日じゃない)
私の身体も、コートに叩きつけられて堕ちた―