第43章 塵も積もれば山となる
それから、影山は蛍によくトスをあげた
蛍はその度にフェイントをかます
何度上がっても打つのはちょんと触れるだけのフェイント
葵
(逃げてる?)
何度目かのフェイントをかまし、ラリーが続き始めた
ドバッ
葵
「カバー頼みます!」
少し短いレシーブの下へ影山がトスの構えを取る
蛍が跳ぶ
そこへ影山がトスを上げる
葵
(またフェイントかな……
構えなきゃ)
相手が拾うことを想定して、レシーブの体制をとる
ドバッーーーーー
蛍の思わせ振りのスイングが本当に強打した
今までは直前まで強打を思わせてからのフェイント
だからレシーブも自然と前のめりになる
そこへ、強打
葵
「すごい!ナイス蛍!!」
影山
「ナ ナッフ
ナフス ナイス」
蛍
「!?」
葵
「そこ噛んじゃダメでしょ影山」
笑いながら影山をパシパシ叩く
うるさいという影山に「どんだけ褒めるの下手なの?」とニヤニヤしながら言い返す
蛍の攻撃で烏野はセットポイントとなった
でも、青城は獲らせてくれない
食い下がらない
その上及川のサーブ
烏野からすれば、このセットは確実獲りたいし、青城からしても、このセットも落とさず若率いる白鳥沢と戦いたいだろう
でも、若を倒すのは他の誰でもない
私だ
及川のサーブ
相変わらずの強烈サーブ
ミスしたらこのセットを落とすにも関わらず、サイドラインギリギリに打ってきた
この人はやっぱりすごい
ボールが青城側に返る
誰 来る
あの人は誰にあげる?
この場合はセンターからの速攻
影山が蛍のユニを掴む
まだ、ブロック跳ぶなというように
そして、青城のエースの方へ2人跳ぶ
ドゴガッ
凄い音。
止まる空気
笛の
短い音
そして、長く吹かれる笛の音
チームから沸き上がる歓喜の声
コツコツ貯めた点数がこのセットを掴みとった