第43章 塵も積もれば山となる
菅原side
俺の背番号と同じ、番号を掲げる影山
悔いはない
「ちょっと悔しいけど
俺のトスとお前のトス 打ってる時の日向の顔が違うんだ」
影山に言った
「わかってると思うけど
うちの連中はちゃんと皆強いからな」
影山の目を、コートにいる皆の目を見た
影山は「ウス」と少し間を開けて答えた
「よし!勝―――……」
頭に"勝てよ"の文字
違う
俺が言いたいのは、こんな言葉じゃない
まだ終わりじゃない
終わってない
「勝つぞ」
影山の肩を叩いて、俺はこう言った
影山も今度はすぐに「ウス」と答える
皆で勝つんだ
烏養コーチの元へ行く
ペコと頭を少し下げた
烏養さん
「青城と互角に渡り合ったじゃねーか」
「うちの連中は強いですから」
烏養さん
「でも アレだな
次ん時はもっとセンター線積極的に使ってもいいかもな」
頭の思考が一瞬止まって、ようやく烏養さんの言葉を噛み砕く事ができた
「ハイ!!
ありがとうございます!!」
ガバーッと頭を下げて控の方へ戻る
"次"
俺にとってこの言葉は、俺の存在価値を認めてくれたことのような、そんな気持ちにさせてくれる
烏養さんや、葵はどこか似ている
やっぱり、普段あんなだけど仲いいからかな?
いつも、誰かを言葉で引っ張っている
そういえば、葵は初見の旭に臆さず物言ったんだっけ
あの風貌の旭に……
みんな、ここで戦えているのは葵のおかげでもあるな
それに、青城相手に戦えたのは絶え間ない皆の努力の賜物だ
でも、その先へ一歩進むにはやっぱり烏野だけが誇る"最強の囮"が100%機能しなくちゃならない
それができるのは、お前だけだ影山