第37章 "及川"という男
繋心
「練習試合の時は?」
大地さん
「3セット目のラストにライトの選手と交替でピンチサーバーに入っただけです
あの時は2年生セッターが代わりに出ていたと入畑監督から伺っています」
繋心
「…………
セッターってよ」
武田先生
「?」
繋心
「オーケストラの"指揮者"みてぇだと思うんだよ
同じ曲
同じ楽団でも
"指揮者"が代われば
"音"が変わる」
葵
「指揮者か……」
菅原さん
「……なんつーか
すげー滑らかな連携だな」
影山
「……及川さんと岩泉さん
――あの4番のレフトの人
……あの二人は小学校のクラブチームから一緒らしいです
阿吽の呼吸?ってやつです」
葵
(影山、そんな言葉知ってるんだ(笑))
繋心
「練習試合ん時の2年セッターのレベルが低かったとかじゃないと思うんだよな
青城入ってるわけだし
ただ あの及川ってやつが
『青城』ってチームを熟知して100%の力を引き出せる――
って感じじゃねぇのかな……」
葵
「……それに加えて
試合慣れしてる」
重い空気が流れる中、
「大王様かっけぇ!!
早く試合したい!!」
と日向の声がとんできた
そして、
「おう!
サーブ俺
狙ってくんねぇかなぁ!?
とりてえ!!」
と西谷さんの声も
繋心
「頼もしいな……」
葵
「……私も早くやりたいなぁ」ボソッ
西谷さん
「あっ オイ
見ろ翔陽!テレビだぞ!!」
日向
「えっっ!
テレビ!!?」
おじさん
「コラ〜
そこの中……小学生かな?
少し静かにね」
日向
「しょっ……」
日向&西谷さん
「「スミマセン」」
葵
「ブフッ」