第37章 "及川"という男
影山side
中学の時、同じチームで凄く心強かったあの人が今になっては敵となって、こんなにも不安になるなんて思ってもみなかった
俺のサーブもあの人から見て覚えた
凄く性格が悪い
月島程
そして、凄くバレーが上手い
俺は
あの人に勝てるのか?
あの人を超えることが
できるのか?
試合の時よりも汗ばんでくる掌を握りしめた
あの時言われた言葉が聞こえた
「俺はこのクソ可愛い後輩を
公式戦で同じセッターとして正々堂々叩き潰したいんだからサ」
そういえば、葵も指を指されて言われてた
葵の顔を覗き見た
彼女は、静かに、食い入るように、青城の試合を見ていた
その周りの空気だけピンッと張り詰めていて、すぐそばにいる日向や西谷さんの存在がまるでないような感じだ
すごく集中している
葵は、どう思ってるんだろう
そうこう思っているうちに、及川さんがサービスエースを4本決めていた