第19章 はじめてのおつかい
坂ノ下商店が閉まっていたので合宿所へ引き返す私達
影山
「……津田は、なんでバレー始めたんだ?」
少し遠慮がちに聞いてきた
葵
「んー、もともと色んなスポーツやってたんだけどね、親が両方ともバレーしてたんだ
だから、かなー?」
影山
「………そうか
俺、津田がテレビの中でバレーしてる姿見て、楽しそうだなーって思った
だから、俺もバレー始めた」
私は、立ち止まった
半歩先に歩いた影山が振り返る
葵
「へへっ
そう言ってくれると嬉しいなぁ」
影山
「明日、サーブ教えろよっ」
ダッと走っていく影山
葵
「えっ、ちょっと!
人がお礼言ってんのに走っていくとか酷くない!?」
私も後を追いかけた
耳に流れるラジオの砂嵐がプツと一瞬切れた
驚いて、空を仰ぐと
流れ星が一筋、流れていった
葵
「………はじめて見た……
って!あ、お願いするの忘れたっ」
ラジオの砂嵐が切れると、流れ星が流れていることがあるんだって
昔、誰かに聞いた
それからずっと、私はラジオの砂嵐を聞いている
願いを叶えてもらうために
そして、もう1つ
流れ星が流れると、人は生まれ変わってこの世にまた生を受けるらしい
そんな瞬間を今日、初めて聞いた
*実際、そうなのかはわかりませんが作者が聞いた話です*