第6章 声
『なぜだ?』
『さぁ…仮説ならいくらでも。…見守りたかったのかもな、世界と生命を。』
そういってページをめくる。
『かくして、陰陽の気は、あるときは人間に、あるときは獣に、あるときは植物に、宿った者の寿命が尽きると、また別の者に移り……それを繰り返した。』
『んじゃ、今あいつらにそれが入ってんのか?』
『そういうこと。』
女はうなづいた。
『それでなんでああなってんだよ。』
『………おまえもよくわかっているだろう。…いつだって人間さ。』
女は苦虫を噛み潰したような顔をした。そして本をもとの場所に戻した。