第6章 声
『なぁ…魔女。……あいつら出してやれねぇのか』
男がいった。
『……どうした、いきなり』
女は顔を上げる。
『だってよぉ…なんもしてねぇのに、閉じ込められるとか………』
『まぁ、一理ある』
そういって女は一冊の白い本を取り出した。
『時に、狼よ……あの子たちがなぜ幽閉されているかわかるかい?』
『………知るか』
『だろうね…それじゃあ、昔話をしてあげよう。』
女はもっていた白い本を開いた。
『ン。』
男はうなづく。
そして女は静かに語り出した。
『……、昔々…かつてあの子達の世界が生まれたときのお話になる。世界が生まれると同時に、陰と陽の気……要は正反対のエネルギーみたいなのが発生した。それらはやがて世界と共に成長して……長い時間をかけて生まれた生命に宿るようになった。』