第2章 姉と弟
弟が産まれて1ヶ月が経とうとしていた。
母と弟が退院した次の日は月曜日だったので、その日から父はいつも通り仕事に行き母は家で弟と私の面倒をみる。
養う家族が1人増えたのだから。と、父はこれまで以上に仕事に精を出していたし、母は弟が泣いて寝るの繰り返しをする中、時間を見つけて私の遊びや言葉の勉強などに付き合って忙しい日々を送っていた。
特に母は夜泣きもあって睡眠時間を一度にたっぷりとるという事も出来ず、弟が寝てる時間に私の相手をすると休む間もなかった為日に日に疲れていってるようだった。
忙しさに追われている両親は以前より笑う回数も減ってしまったが、週末2人で過ごす日や眠る弟の顔を見つめる表情は以前より更に輝いている様に感じたのだ。
この頃から私は【両親の笑顔】その為だけに2人の苦労を減らそうと努力した。
私に出来る事は少なかったけれど、弟のオムツ替えは出来たし1人で遊び勉強する事は難しくなかった。
最初は困り顔で否定していた母も最近は「ありがとう」と言って仮眠を取り起きた後は「良い子ね」と随分と顔色の良くなった顔で笑ってくれる。
そうやって慌ただしかった日々は次第に安定していき、以前とそこまで変わりない生活を送る頃には早くも1ヶ月近く経とうとしていたのだった…。
私にとって弟はまだ、家族だが意思の疎通もままならず大きな声で泣いて眠りを妨げる等、両親の苦労を増やす厄介な存在に近かったのだと思う。
弟の姉としてというよりも両親の為に頑張る私がそこにはいた。