第3章 私の弟を紹介します
爽やかな草の香りで目が覚めた。
体を起こしてスンスンと鼻を鳴らして匂いを嗅いだ。
窓が開いている訳でもないのに、この部屋に残る香りは目覚める前に嗅いだ香りに似ていた。
夢で出会った弟が笑い手を伸ばして来た時に、風と共に流れてきた香りだ。
同時に世界が白むのを見て私も手を伸ばしたけれど、互いの手は触れる事無く現在の状況に至る。
カサッ…コン…
小さな物音に視線を巡らせると、ベッド横に置かれたベビーベッドから聞こえてきた様だった。
両親を起こさないようにしながら2人の間から抜け出してベビーベッドに近づいてみる。
近づく間もコン…と聞こえる音を疑問に思いながら辿り着いたそこで、覗き込む私を見る黒い瞳とぶつかった。
「セブルス…」
「あぅー」
なんとなく弟も目覚めていると思っていた私は繋がりを感じれた気がして嬉しかったから、横の柵を手の甲で鳴らしていたみたいでちょっと赤くなった手を取って優しく包んであげる。
「セブもあのユメをみたの?」
弟の手を取るとフワリと…またあの香りが私を包んだ。
「セブ格好良かったね」
夢で見た弟の姿を思い出しながら笑いかけると、包んでいた手をブンブンと大きく振りながら笑い声をあげるから、私も声をあげて笑ってしまう。
なんだか、照れた父がその雰囲気を壊そうと話を逸らしたり大声で笑って照れを隠そうとするのに似てると思った。
弟も褒められて照れているのかな?と思うと可愛く思えて仕方なかった。
今私が弟を誰かに紹介するなら、こうだ。
セブルス・スネイプ 0歳
母に似た柔らかな黒髪と父に似た黒曜の瞳を持っている、小さく短い手足とクリクリとした目が可愛い男の子。
将来は、父にも負けぬ長身で長い手足で颯爽と歩く格好良い青年。
になる予定の私、ファブール・スネイプの大切な弟です。
これで決まり!!