第8章 あなた想う気持ちに変わればいいのに
「さとし、あたし、
おーきくなったらさとしと結婚する!!」
○「おいらか?」
「さとしと結婚する!」
なんて大胆な逆プロポーズだっただろ(笑)
○「んふ、おにいちゃんが幸せにしちゃる」
さとし、そう言ったよね?
「やったあ!」
すんごい嬉しかった。
優しく微笑むさとしと、
お母さんとお父さんみたいに
ずっと一緒にいれるんだって、
くすぐったくなったんだよ?
○「ぜってー、忘れんなよ」
それから、お医者さんに呼ばれて、
無事、注射も終わり、
「さとしー!」
○「痛くねぇだろ?」
「うん!」
○「んふふ」
母「ゆいちゃーん、帰るわよ~
さとしくん、ありがとね?」
○「注射のときは呼んでね」
母「んふふ、助かるわ(笑)」
「またね、さとし」
○「ばいばーい」
それから、さとしと会うことはなかった。
小学校も卒業して、
中学生になって、
部活に勉強、
忙しくなって、
ごめんね?
すっかり忘れてた。
でもね、
あの日から一度も、
私の胸がトクンと、
鳴ることはなかったよ。