第12章 あなたが居れば充分だから
恥ずかしくなって、
大野を置いてきちゃった。
「これじゃ、俺の弟子失格だな。」
「うぅ……」
「ハハハ(笑)」
「恥ずかしくなっちゃうんだよね、
たまに。大野といると。」
うつむくと、
師匠のちっちゃい手が
私の頭に乗った。
「よかったね。」
「え?」
「好きなんじゃん、大野のこと。」
「…………うん。
好きみたい(笑)」
よかった、よかったって
やさしく撫でてくれる。
「いい人そうじゃん、大野」
「うん。」
「んふ、もっと惑わせてやんなきゃね。」
「教えてくださいよ、師匠~!」
そうだなぁ、と師匠は言う。
なんでか、昔から色々
師匠にレクチャーを受けていた。
なんでだろ、って思ってたけど
もっとしっかり聞いとけばよかったな(笑)
「とりあえず、明日、
大野にお弁当でも作りますか。」
……え、
「マジか。」