第2章 start
「じゃあ兄さん……頑張ってね」
「ちょ、ちょっと待って!見捨てないで!」
いや見捨てるもなにも、自分の部屋に戻るだけだけど。
大丈夫だよ、殺されることはないだろうし。……多分、ね。
兄さんは主人公なんだから、きっとなんとかなるよ。
「私は隣の部屋にいるから、困った時は呼んでね。
リボーン君……兄さんは私の兄さんだから、あまりいじめないでね?」
「……あぁ、ついでにおまえの勉強も見てやるぞ」
「アハハ……うん、ありがとう」
赤ん坊に勉強教えられる私って……と、苦笑しながら部屋を出た。
小学生らしくしないと怪しまれるよね……原作なんて覚えてないけど。
生まれ変わったなんて、誰も信じてくれるはずないしなぁ……。
「兄さん……私は、味方だからね」
兄さん……兄さんは、幸せになってね。
私はどうなるか分からないけど……先のことなんて、分かるはずない。
でもなんとなく、私はダメな気がする。
どうしてそう思うんだろ……まあいっか。
音をたてながら、ゆっくりと自室の扉を開けた。