第1章 降って湧いた妖精?
眼下に真っ赤な世界が、広がる。
目の前が赤に染まり、ナニも見えない。
わたしは怖くて声がでなくて、慌てて目をつむる。
まぶたの裏に焼き付くように浮かぶのは暁色。
ずっと昔、遥か昔の
まるで……彼のようだ。
まるで、…………のような…。
わたしの魂の奥に刻まれた記憶のような何かが動き出す。
知ってるんだ。わたしは、この暁色の光を知ってる。
怖くなんてない。懐かしくて、何故か愛おしかった。
「姉さん!!」
蓮の声が光の彼方に聞こえた気がして、わたしは暁色の世界から抜け出す。
『…置いていくなっ!』
「え…っ?」
誰かに手を捕まれたまま、意識は現実に戻る。
目の前の暁は消えて、まぶたをあけた。