第6章 和の国へ旅行
『へぇ、ここが和の国かぁ•••』
アーダルベルトが船から降りながら子供みたいな声を出す。よっぽど来たかったのか前日の夜は、眠れない と俺に相談して来たほどだ。
『あれ?船にあれほどいた基地の兵どもは?』
ふと船に視線を移すと二千ほどの兵と指揮をするオスヴァルトがいなかった。いったいどこにいったのか?まさか和の国で起こるというVerschwinden(神隠し、消失)が起こったというのか?
『船にいた奴らならオスヴァルトが街で兵たちの配置をしていたぞ。』
なんだ、そういうことか。さすがオスヴァルト!行動がはやい。
『まぁ、そんなことは置いといて和の国で軍服はいいのか?騒ぎにならないか?』
俺はアーダルベルトの軍帽をポンポン叩きながら言った。いきなり街中に軍服を着た男が二人いたらこの国の人はどう思うか•••
『Es ist zuverlässig.(心配ないよ。)ちゃんとこの国のお偉いさんに頼んだら、オッケーって言ってくれた。とてもフレンドリーでいい人だった。ちゃんとテレビにも放送してくれたそうだし。』
テレビに放送するほどのことじゃないと思うがとりあえずありがたい。軍服でいられるならありがたい。
『それじゃあいこうか。』
『待て、おいて行くな。』
俺は街へ走っていくアーダルベルトを追いながら旅行を精一杯楽しもうと思った。