第7章 strategie⑦
はっとして、跳ねるように飛び起きる。
変な汗をたくさんかいていて、シーツがぐっしょりと濡れていた。
なんだったんだろう、いまの夢は。
〝清々しい悪夢〟
という言葉がよく似合う。
どういう感情なのか、なにを思っているのか説明できない。
しかし清々しいのは確かだった。
今何時なんだろうと時計を見ると、「6」を指していた。
朝の6時なのか、夕方の6時なのか本気で分からなかったのでテレビをつける。
めざましテレビがやっていて、今が早朝なんだと気づいた。
大きなあくびをひとつして、
タバコを箱から取りだして口に咥えようとした時、ある衝撃が走り、タバコがポロリと床に落ちた。
目を疑う光景を目の当たりにする。
ブラウン管の向こうには、俺が映っていたのだ。
そしてその見出しは
「堂本光一、風俗嬢(24)と不倫?!泥沼の四角関係の実態!」
職業病でガセが出回ったと一瞬感じたが、間違いだった。
昨日のカフェでアンリと喧嘩している様子、
ヒロカを抱きしめる様子、
アンリが泣きわめく様子、
それらの模様全てが写真におさめてあり、朝のひんやりと気持ちのいい空気には到底似つかわしい程、醜い姿が晒されていた。
さらに俺が目を疑ったのはヒロカの正体だった。
テレビが言っていることは真実ではないので本人に確認しないとわからないが、ヒロカの過去や現在に衝撃を受けた。