第5章 strategie⑤
「アンリちゃん、ほんまに元カノか?」
「は?」
俺は言っている意味が全く分からず、空いた口が塞がらない。
「アンリちゃんから来てたメールどうしてたん?」
「メール…?」
俺は剛の言葉で記憶を辿った。
メール…。
確かに別れてから定期的に来てた気がする。
しかしあまりしっかり読まずに放置してしまっていた。
別れた女からのメールなんて正直どうでも良かったのだ。
それにもう二年も前の話しだ。
それがなんだっていうのだ。
「読んでへんけど。それがどないしたん。」
「やっぱりな。」
剛は言葉を選んでか少し考えてからすっと息を吸った。
「お前がどういう別れ方したんか俺は知らんけど、別れたと思っとるのお前だけで、アンリちゃんは納得できてないみたいやで。」
「はあー?」
あまりのバカバカしい発言に呆れて言葉が見つからない。
「ここ最近になってアンリちゃんから、光一とちゃんと話したいから剛君の方から伝えておいてって言われてな。でもお前あまりに今の恋愛に熱中してるみたいやったから、なかなか言い出せなかったんや。」
「いやいや、おかしいやろ。納得できてないもなにも二年も前のこと今更持って来られても。」
剛はまた軽蔑したような目で俺を睨む。
「メールシカトしてたんが悪いやろ。しかもお前のことやから、どうせ別れ話しも一方的かつ適当だったんやろ。想像ができるわ。」
俺は返す言葉が見当たらなかった。
確かにそうだ。
もうどんな風に別れたのか覚えてないが、きっと俺のことだからひどい言葉をかけて強引に切ったに違いない。
にしても、時間が経ちすぎている。
二年前やろ。
アホちゃうか。