第4章 strategie④
暫く動けなかった。
そして目の前が真っ暗になっていくのが分かった。
わたしはゆっくり動きだし、
「少し考えさせて。」
と言い、部屋を出た。
そして暫く歩いていると、夜風がすーっと体を冷やした。
歩行を進めていくと、また涙が勝手に溢れ出た。
どんどんどんどん溢れ出て、もう止められなかった。
わたしはその場にしゃがみ込み、わっと声を出して泣いた。
わたしはずっと思ってた。
この結婚は売春だって。
お金を貰う代わりに、妻役を演じてタクヤを満足させてあげてるんだって。
しかし違った。
タクヤはわたしの夢を買ったのだ。
二人で決めた暗黙の了解だったはずなのに、わたしが見失っていたのだ。
そう。
わたしは恋をしてしまった。
わたしはゆっくりと携帯を取り出し、すっかり覚えてしまった番号を押した。