第4章 strategie④
自分の部屋で寝巻きに着替えていると、そっと部屋の扉が開いた。
タクヤが入ってきたのだ。
「なに?どうしたの?」
タクヤはなにも言わずにそっとわたしを抱きしめた。
「え…ちょっと…」
興奮しているのか、呼吸が荒くなっていて鼻息が髪にかかった。
「ごめん…。今日そんな気分じゃないの…。」
今日は光一に触られたままにしておきたかった。
もう少し彼を感じていたかったのだ。
「なんで…」
拒否することがなかった為、タクヤは傷ついたようにこちらを見ていた。
「ごめんね。撮影うまくいかなくて。」
そう適当に誤魔化したが、納得できないような顔で睨んでいる。
ふて腐れているようだ。
「俺だって毎日仕事で疲れてんだよ?少しくらい癒してくれたって良いだろ?」
そう言ってわたしの返事を聞かずにまた抱きしめ、服の中に手をいれる。
「ちょっ…」
本当に嫌な気持ちになったが、これ以上彼を拒否することができなかった。
実際わたしは彼の仕事に支えられている。今日うまくいかなかった撮影だって彼がいたから成り立ったのだ。
どんなに嫌なときでも、風俗経験があるわたしはすんなり受けることができた。
わたしはその日光一を思いながら、タクヤに抱かれた。