第3章 strategie③
彼女はなにが起きたのかわからないという風に言葉にならない言葉を発していた。
「えっ…えっと、あの…あ…」
俺は彼女に拒否されるのが怖くて、彼女の反応をとことん無視しながら喋った。
「久しぶりやな。また会ったな。」
その言葉には答えなかった。
「芝居好評やったみたいやな。シーン増えて良かったやん。」
「あ…、ありがとうございます。」
言葉少なめにそう答えた。
ヒロカが何を考えているか分からなかった。
嫌われたのか、ずっとバリアをはったままだ。
なんやねん。
訳が分からん。
この間のはなんやったんや。
俺と過ごせて幸せだった言っとったやん。
ファンなんやろ?
一回エッチしたらそれでええんか?
俺は彼女の反応の悪さに、情けない程理不尽な怒りを感じる。
正直俺の顔を見たらヒロカは喜ぶだろうと勝手に予想していたのだ。
それなのに喜ぶどころか迷惑そうな困った表情の彼女を見て俺は心から恐ろしくなった。
しかしもう止められない。
俺はなんとしてでも彼女が欲しかった。