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strategie

第2章 strategi②


タクヤはお店の常連で、毎回わたしを指名していた。
舞台にも毎回来てくれていて、太客であり、わたしのファンであった。
お店の人はそこまで執着する客はストーカーになりやすいから気をつけろと釘を刺してきたが、タクヤからそんな負のオーラを感じなかったのでわたしは特に心配していなかった。
その話しをタクヤにしたことがあったが、タクヤはケラケラと笑っていた。

「俺はただのファンなんだよ。」

そう言っていた。

始めてタクヤを舞台に誘ったとき、終演後タクヤは泣いていた。泣きながら震えていた。

「すごいね。すごい、ビックリした。震えた。」

そう言いながら帰っていったのを覚えている。

タクヤはわたしのファン一号だったのだ。



──2年後

父親が突然死んだ。

母親からの電話で知った。

わたしは葬式に出席しなかった。ちょうど舞台の本番で休めなかったのだ。
わたしは千秋楽を終えて久々に実家に帰って、母親から父親が残した借金の具体的な数字を知らされて愕然とした。
とても女二人で返せるような額ではなかったのだ。
ましてや女優なんてやってられない。すぐに女優として大成功できるのならまだしも、そんな兆しはこれっぽっちもなかった。

それが悔しくてわたしは泣いた。

そんなわたしの姿を見て母親も泣いた。

わたしは一旦東京に戻っていろいろ考えることにした。

タクヤには女優辞めるかもしれない、と話した。

タクヤは驚いて理由をしつこく問いてきたので、わたしは全てタクヤに話した。

するとタクヤはじゃあ俺と結婚すれば良い。

と言った。




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