第4章 妖艶な眼差し
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一週間前
とあるホテルの一室で、女は居た。隣には厳つい顔をした男。
こいつこそ今回の彼女の仕事の標的、今まで罪のない人間を惨殺してきたブラックリストにも載っている立派な犯罪者だ。
数分話した後、女と男の唇が合わさった。たちまちそれは激しくなり女は息を荒々しくする。
それを確認した男はニヤリと下品に笑い、女の服を脱がして執拗に愛撫しはじめた。
「あっ、....んん....はぁ...」
彼女の喘ぎ声を聞いたが最期、ニヤニヤと笑っていた男の表情が一変し、首を抑えて苦しそうにもがいた。
ドサッ
遂に男は泡を吹いて倒れた。
ベッドに横たわっていた彼女はむくりと起き上がり、男に向かい妖艶に微笑んだ後、服を整えて何事もなかったかのようにホテルを出た。
夜でも人の行き交いが絶えないここ、ヨークシンの街で群を抜く美貌の持ち主の彼女はすれ違う人をまたたくまに振り返らせた。
時よりナンパの声が掛かるが見向きもせずに携帯電話を手に取った。