第2章 伸ばした手が触れる残像。
俺とアイツは普段からお互いの家にしょっちゅう泊りに行く仲だった。
ただ、あの夜…。
酔っていた俺は欲求不満だったのか、スヤスヤと規則正しい寝息を立てるアイツにそっと口づけを落としたのだ。
『ん…、悠(ゆう)?』
運悪く目を覚ましてしまったアイツに今度こそ愛想を尽かされるとビビった俺の酔いは一気に冷め、言葉に詰まる。
そんな俺を見て、同じく酔っていたアイツは何を思ったのか自ら俺の口を塞いだのだ。
『んんっ?!…まっ、拓真(たくま)っ!』
慌てて押しとどめようと口を開いた俺の口内に、躊躇い無く拓真は舌を差しこんだ。
『ふぁ、っ…んっ…』
別の生き物のように蹂躙し、うごめく拓真の舌に翻弄され俺の抵抗も意味を成さない。
『悠、ダメ…もっと舌だして?』
『あっ…も、無理…はっ』
ずっと触れたかった相手に触れられて。
息つく暇もない程の激しいキスを与えられ。
頭が冷静に物事を判断出来なくなっていた。