第2章 伸ばした手が触れる残像。
あの日から、2年とちょっとが経ったー…。
「……ねぇ、ちょっと聞いてるのっ?!」
「え…?」
いきなり耳に入ってきた怒号に顔を上げると、彼女からの平手打ちが飛んできた。
バチンッ!!!
避ける暇も無くその手は俺の左頬にヒットし、その衝撃で口の中には血の味が広がる。
「…ぃて…」
ジンジンと痛む痛みに顔を歪めて左頬をさする俺を見て、彼女は顔を真っ赤にして立ち上がった。
「もういい、別れるっ!!あんたみたいな男こっちから願い下げよ!!!」
捨て台詞を吐いた彼女は大きな足音を響かせ玄関に向かう。
その姿を引き止めるでも無くぼうっと眺めていた俺を一瞥すると、彼女は扉を乱暴に開けて出て行ってしまった。