第1章 雨降りて想う君。
酷く滑稽だ…。
酷く滑稽で……。
「っ、…!!」
好きだった。
それでも君が好きだった…。
あの子を憎むことは間違ってる。
でも、何度も思った…。
“俺があの子だったら”
そしたらアイツは俺に好意を持ってくれただろうか。
俺を好きになってくれただろうか…。
『親友だと思ってた…。
ごめん。…お前をそんな風には見れない…』
ごめんな。
でも俺はお前を親友だと思ったことは一度も無かったよ…。
「…好、きっ…」
溢れる涙が頬を濡らす。
手のひらから滑り落ちた傘は風で舞い、俺はその場に膝をつく。
届かない想いが嗚咽とともに口から溢れて、雨音に掻き消される。