第1章 雨降りて想う君。
そこは俺の居場所だったのに…。
俺だけの居場所だったのに…。
大事に大事にと築き上げたものは、ものの見事に呆気なく崩れ去る。
俺の手の中にのこったただ一つのカケラは、アイツの悲しそうな笑顔だけだ。
…いや、違うな…。
想いを告げたときのあの驚いたような顔…。
……あれは。
「………軽蔑……」
言葉にすれば、その意味は強く俺にダメージを与え自嘲の笑みが口元を歪ませる。
歩きをやめた足の下には大きな水溜りが一つ、俺の哀れな顔を写していた。
ザーザーと降る雨に水の中の俺の顔が消えては浮かぶ。
……醜い。
嫉妬。
憎悪。
怒り。
その全てを宿している俺の顔。