第3章 溢れる恋、腐敗して。
俺がこの後輩に惚れたのはいつだっただろう。
それが思い出せない程には長く一緒にいる。
いつの間に一緒に屋上でお昼を食べるのが日課になったんだっけ…。
それすら思い出せない程長く…俺はあいつを好きでいる。
エビフライの油が付いた唇をぐいっと拭って教室に入ると、すでに多くの生徒が机に座っていた。
俺もそれにならいイスに座ってから午後の教科の教科書を取り出した所で、前の席に座っている良太(りょうた)がこちらを振り返った。
「今日も後輩くんと屋上?仲がいいね〜」
バカにしてんのかと言いたくなるニヤニヤ顔。
「お前だって毎日彼女といちゃつきながら飯食ってんだろ?」
リア充滅べと呟きながら言った嫌味もこいつには通用しない。
「リア充でごめんね〜?」
あー、ほんっとムカつくこいつ。
ギリギリと頬っぺたをつねってやった所で、授業開始のチャイムがなる。
「…結生、お前それで平気?」
教科の担当教員が入ってくる直前、真剣な声で呟いた声ははっきりと俺の耳に届いた。