第2章 伸ばした手が触れる残像。
会いたいと願っていた心とは裏腹に、口から出てきた言葉は全く違うもので。
「……っ、…ひっく…」
悔しさと、驚き…そして惨めさ。
全ての感情がぐちゃぐちゃと混ざってドロドロに溶け合って…。
もう、わけわかんねぇよ…。
目の前にいる人物が自分で作った幻なんじゃないのかと思う位に、俺の頭は混乱している。
その性で止まらない涙を何度も何度も手のひらで拭う。
夢なら早く覚めてしまえ。
…幻なら、早く消えてしまえ…。
これ以上俺を惨めにさせるなー…。
「………ごめん」
低い声が耳元に落ちる。
心地よい、俺が大好きな声。
そっと俺の様子を伺うように触れた手が、視界を覆っていた手のひらをゆっくりと外す。
目の前にある、紛れもない俺の好きな幼馴染の顔。
あの時と違うのは…少し、大人びていること。
当たり前だ。
しばらく…何年も会っていないのだから。