第2章 伸ばした手が触れる残像。
ギリギリと噛み締めた唇が白くなるまで歯を立てて、拓真を睨みつける。
「…………」
「今更…何の用だよ……」
黙ったままの拓真に問いかける俺の声は酷く弱々しく、聞いてすぐ分かるくらいに震えていた。
か細い俺の声を耳にした拓真はゆっくりと顔をあげる。
その瞳が寂しげに揺れるのを目にすると、心臓がきゅっと締め付けられる。
「黙って居なくなりやがって!!俺の事が嫌いなら嫌いって、…っ、ハッキリ言えよっ!!!」
中途半端に同情されて抱かれても虚しいだけだ。
それなら罵られて捨てられた方がマシだ。
変な期待を持たずに済む…。
「何で戻って来たんだよ!!」
ーーー違う…。
「今まで音信不通だったくせにっ!!」
ーーー違う!
「何でも無かったみたいに帰ってくんなよっ!!」
ーーーこんな事が言いたいんじゃないっ!
「お前なんか……
大っ嫌いだ!!!!!」