• テキストサイズ

君を想う理由〜ヒミツゴト〜

第2章 伸ばした手が触れる残像。


ギリギリと噛み締めた唇が白くなるまで歯を立てて、拓真を睨みつける。

「…………」

「今更…何の用だよ……」

黙ったままの拓真に問いかける俺の声は酷く弱々しく、聞いてすぐ分かるくらいに震えていた。

か細い俺の声を耳にした拓真はゆっくりと顔をあげる。

その瞳が寂しげに揺れるのを目にすると、心臓がきゅっと締め付けられる。


「黙って居なくなりやがって!!俺の事が嫌いなら嫌いって、…っ、ハッキリ言えよっ!!!」


中途半端に同情されて抱かれても虚しいだけだ。

それなら罵られて捨てられた方がマシだ。

変な期待を持たずに済む…。


「何で戻って来たんだよ!!」


ーーー違う…。


「今まで音信不通だったくせにっ!!」


ーーー違う!


「何でも無かったみたいに帰ってくんなよっ!!」


ーーーこんな事が言いたいんじゃないっ!




「お前なんか……





大っ嫌いだ!!!!!」





/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp