第2章 伸ばした手が触れる残像。
あの日の熱を思い出して微かに疼く体を抱きしめ、ベッドの上で体を丸めた。
拓真が俺を抱いたのは同情からくるものだと、はっきり分かったのは目が覚めた時だった。
鈍く痛む頭を手で押さえ起き上がった俺の視界に入ったのは、もぬけの殻のベッド。
眠りにつくまで感じていた隣にあった体温。
それはもうすっかり冷えてしまっていて…随分前に出て行ったことなど容易に考えつく。
家に帰ったのか…?
部屋を見渡すとテーブルの上にはお酒の空き缶が数本と、あの行為が夢では無いと物語る床に散らばった衣服。
…俺、拓真に抱かれたのか。
そう実感すると途端に下腹部が鈍く痛み、俺はそこを押さえて立ち上がると落ちた衣服を拾い上げる。
一通り部屋を見渡してベタつく体でシャワーに入った俺は、拓真がもうこの地に居ないことなど一切想像して無かった。