第5章 Locations subject to rainbow
[極悪大罪]1
*奈々美side*
十番隊隊舎に着いたと思ったら、門の側に乱菊さんの姿があった
彼女は塀にもたれ掛かり、腕組みをしながら俯いている
「あれ、乱菊さんどうしたんですか?そんな所で。中に入んないんですか?」
「あぁ、奈々美お帰り。今ちょっと気分転換したくてね。もう暫く私はここにいるから」
そう言った乱菊さんの目は少し腫れている様にも見えて、私は不審に思った
何だか少し窶れてる感じだし…
私が中へ入ろうとすると乱菊さんが呼び止めた
「ねぇ奈々美もしかしてさぁ執務室に行く?」
「?、……ええ、そうですけど…」
「そう。じゃあ隊長には気を付けてね。今物凄いピリピリしてると思うから」
「…何かあったんですか?」
「私が隊長の事怒らしちゃったの。多分当分は許してくれないわ」
一瞬乱菊さんが何をしたのか気になったが、これを聞くのは野暮だなと思った私は了解の返事だけをする
「分かりました。日番谷隊長に接する時もあまり深入りしない様にしておきますから。どうぞ気の落ち着くまでそこにいてください」
「…奈々美ってさぁ」
「はい」
「優しいのね」
そう言う乱菊さんを振り向き際に一瞥すると私はこう言葉を漏らした
「優しいなんて言葉は私には勿体無さすぎます。何度この手で人を殺めようと思った事か…」
これ以上言うとマズいもんね
でもこの時の乱菊さんが納得している表情に見えたのは気の所為だろうか